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記述例を見て納得! 〜業務フローを描くメリット〜

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記述例を見て納得! 〜業務フローを描くメリット〜

DX推進やIT導入施策に先立ち、現状業務と現状課題の正しい理解が大切であることは言うまでもありません。そのためにまずは業務を可視化しよう、業務フローを書いてみよう、という考えに至ることが一般的です。DXや働き方改革への要請、リモートワークの進展で、その動きは国内でも活性化してきています。しかし、一言で「業務フロー」と言っても、思い描くもの (記述法や品質レベル) は人それぞれかもしれません。本稿では、現状課題の洗い出しや、対策検討に資する業務フローとは、どんなものかをケーススタディーを通して示し、実例を見て「業務フローを描くメリット」を腹落ちして頂きたいと思います。

ケーススタディー「拉麺店の接客業務」

では、記述例で扱う業務シナリオを示します。どなたでもイメージしやすいように「拉麺店の接客業務」を対象にします。ラーメン屋さんには行ったことありますよね? ここでは、次のような昔ながらのラーメン屋さんをイメージして下さい。現状は100%アナログ業務です。

  • 暖簾をくぐると赤い丸椅子がカウンターに沿って並んでいる
  • 壁に貼られた短冊にメニューと価格が手書きされている
  • お客さんは店主に口頭で注文を伝える
  • 店主は紙の伝票に注文内容を手書きして渡してくれる
  • 受け付けた順にラーメンの調理を始め、カウンター越しに提供してくれる
  • お客さんはラーメンを食べ終わると、「お会計」と言って紙の伝票を店主に渡す
  • カウンターのレジでお会計をしてくれる
  • お客さんはご馳走様をして帰る
  • 店主は閉店後、伝票を集計してその日一日の売上を締め、レジの現金と照合する


このような現状に対して、店主は「接客業務の効率性と顧客満足度の向上」を目的として改善策を検討するものとします。時間が許す方は、この段階で上記のようなラーメン店における、現状課題と対応策を想像してみて下さい。業務フローを描く場合と、描かない場合とで、現状への理解度や考察の深さにどのくらいの差が出るかを試してみると良いでしょう。


現状業務フローの記述例

早速、記述例をご覧頂きます。下のリンクまたは図をクリックして下さい。Ranabaseで描いた業務フローがブラウザ上に表示されます。Ranabaseへのお申し込みやログインは必要ありませんので、ご安心下さい。

業務フロー作成例 (拉麺店の接客業務 – 現状)


この業務フローの読み方を簡単に解説します。

役割 (Who)

横に並んでいるレーンは役割分担を表します。左から「お客さん」「接客」「厨房」の三種類としています。店主が一人で切り盛りしている場合は接客と厨房を兼務ということになりますが、役割は別なのでレーンを分けておきます。

業務ステップ (What)

緑色の四角が「業務ステップ」です。人が何かの行為をして何らかのアウトプット (または結論)を出すまでを1単位とします。

イベント (When & Where)

「業務ステップ」の前後にある六角形のシンボルは「イベント」と言います。「イベント」は「業務ステップ」の開始条件を表しています。何かを依頼された、前工程の作業が終わった等、どんな仕事も何らかのイベントにトリガーされて開始されます。業務フローが分岐したり、合流したりする時の条件もイベントで表現されます。(プログラミングをする方にはお馴染みですが、ここで言う”When”や”Where”は実行条件のことを指します。)

利用システムとインプット/アウトプット (How)

「業務ステップ」の左にあるのが「インプット」、右にあるのが「アウトプット」です。POSレジ等のシステムを使う場合は業務ステップの右上に画面のシンボルを配置しています。IT部門の方は前述の業務部門による業務要件定義を必要に応じてサポートしながら、これと並行してIT目線で補足すべきことを整理します。ラフな仕様を固める所までは業務部門と二人三脚で進め、合意できたらIT部門だけで進められる部分 (テーブル定義やバックエンドの処理ロジックなど) の設計に進んでゆきます。


現状課題の抽出

さて、このような業務フローに沿って考えてゆけば、そこに潜む課題を洗い出すことはそれほど難しいことではありません。各シーンを思い浮かべれば自然に湧き出してくるかと思います。上記の作成例には既に、筆者が思い付いた「気づき」が黄色い付箋のシンボルで貼り付けてあります。これらの「気づき」から、「課題」と「施策」を整理してゆきます。下のリンクまたは図をクリックして下さい。こちらもRanabaseによる作図例です。

課題マップ作成例 (拉麺店の接客業務 – 課題整理)


Ranabaseでは業務フロー上に収集された「気づき」をコピーして再利用することが可能です。「気づき」の仕分け、グルーピング、課題設定、施策案の洗い出しというブレインストーミングの工程も、上図のように絵を描きながら検討し、関係者を集めて議論する方が効果的です。


業務フローを描くメリット

言葉だけでは伝わりにくいのですが、実例をご覧いただくと業務フローが手元にあること大切さを実感して頂けたのではないかと思います。改めて、業務フローを描くことの効果は次のように整理することができます。

対象業務が明確に理解できるので、

  • 時系列に沿って考えることで 網羅的 な検討になる
  • 実行者の立場になった 主観的 な検討 及び、
  • 全体を俯瞰した 客観的 な検討の両面を押さえることができる
  • 情報の流れや伝達手段の観点から システム的 な改善策にも繋がる

課題と業務プロセスの対応関係が明確なので、

  • 業務量や所要時間の観点から課題の 重要度・優先度を評価 できる
  • その課題に対策を施した場合の 効果を定量化 できる

課題がどのように導き出されたかが明確なので、

  • 納得感を得られやすい、合意形成 しやすい
  • 施策実施後の 振り返り や PDCA にも使える

まとめ

上に挙げたような効果は、言い換えると、改善プロジェクトの成功要因ということになります。「業務フローなんて書くのは面倒」という心の声に流されてしまうと失敗のリスクが高まります。是非強い意志を持って、面倒臭さを乗り越えてください。

本稿はRanabaseの製品サイトのソリューションページからご提供中の「お役立ち資料」からの抜粋です。お役立ち資料本編では、課題に対する対応策の検討や、業務フロー(将来像)を描くことの必要性にも触れ、業務プロセスの可視化に始まる改善サイクルの一回転を解説させていただいていますので、併せてご利用ください。

関連ソリューションページはこちら

 

執筆者情報:

冨樫 勝彦 (Togashi, Yoshihiko)

1972年生まれ 株式会社ユニリタ クラウドサービス事業本部 ビジネスイノベーション部 部長。Ranabaseプロダクトオーナー。大学卒業後ERP導入に従事、2000年にBPM(ビジネスプロセスマネジメント)のコンサルティングに転向し、国内へのBPM普及展開を推進。2019年からBPMツールの自社開発に着手、"BPMで日本を元気に!" をモットーとして、コンサルに頼らず組織が自ら継続的に業務プロセスを改善してゆくための方法論やノウハウをRanabaseのサービスに込め、BPM市場の裾野を広げる活動を続けています。

 

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