業務フローの粒度感
組織の業務プロセスをモデル化するにあたっては業務を階層化してハイレベルな鳥瞰図から、だんだん詳細へとブレークダウンしてゆくというやり方が推奨されています。業務のレベリングに関してはまた別途、詳しくご紹介します。本稿では、「まずはとにかく、業務フローを書いてみよう」という方々向けに、所謂 現場レベルの業務フローの粒度感についてお話しします。「粒度」(Granularity)という言葉、初めてかもしれませんが、「グラニュー糖」を思い浮かべて下さい。ザラメの大きさにもいろいろありますよね。そのような粒々の大きさのことを指します。「あなたの業務フローはプロセスの粒度が不揃いです。」とか、「粒度が細か過ぎます」というような使い方をしますので、覚えておいて下さい。
ハンドオフの単位
「仕事がひと段落した」と思うのはどんな時でしょう? 同僚に「ちょっといいですか?」と声をかけられて、「少し待ってて。」という時は、まだひと段落していないということです。皆さんはどういう条件で、ひと段落したと感じるでしょうか。
一般的には自分の仕事のアウトプットが他人に受け渡せるようになった段階で一区切りしたと感じると思います。何かを他人に受け渡すことをハンドオフと言いますが、現場レベルの業務フローの一つ一つの箱は「ハンドオフの単位」で描くのが良いと言われます。現代の仕事ではいろいろな局面でITを使いますので、ハンドオフは必ずしも人から人へ手渡しされるとは限りません。ITツールを使って「何らかの情報を加工し、共有フォルダに保存する。」あるいは「アプリケーションに何らかの情報を登録する。」これらもハンドオフにあたります。その瞬間にあなたのアウトプットは他人にも利用可能となるからです。
ハンドオフの単位で描かれた業務フローは次のような見栄えになります。
業務フローをハンドオフの単位に揃えて描くことにより、次のような効果が期待できます。
・ 責任の切れ目が明確になる
・ 業務量を測る単位としてちょうど良い
・ 課題の所在、改善の単位にマッチする
・ リスクの所在にもマッチする
・ システム設計にも使いやすい (IT用語で言えば、ユースケースが明確になる)
このような理由から、業務フローを業務改善に活用しようとするならば、その粒度は「ハンドオフの単位」に統一すると良いのですね。仕事の依頼を受けたら、その仕事を次の人に渡す、または依頼者に返すまでが一区切り、システムを使っているなら、あるデータを保存して他者にアクセスを許すまでが一区切り、と覚えておくと良いと思います。
一方、ご自身の業務マニュアルとするには、これではちょっと粒度が粗過ぎると感じられるかもしれません。その際は、一つの業務の箱に対して、より詳細な手順を文章で書き添える、作業手順書等のファイルへリンクを貼る、もしくは、その箱に対してもう一段詳細の業務フローを作成する、といった手段を取ります。ハンドオフの粒度と、ご自身の詳細な作業手順の粒度は区別しておく方が、業務改善を検討する第三者にわかりやすいですし、業務引き継ぎの際も、まずは大枠を、必要に応じて詳細を順を追って伝達することができるので効果的です。