1. トップ
  2. 導入事例
  3. 東京工業大学

Ranabase 導入事例
東京工業大学

「Ranabase」を導入された東京工業大学に、導入の経緯や効果、今後の展望などを事例として取材させていただきました。

徹底した業務の可視化で業務効率化と工数削減を目指す
業務改善に向けた現場の意識改革にも貢献する「Ranabase(ラーナベース)」

東京工業大学

学内のさまざまな業務フローを「Ranabase」によって可視化し、関連業務の工数削減など業務改善に貢献。
業務改善の統一言語として「Ranabase」の普及をさらに加速させていき、数年かけて大きな業務改善効果につなげていく。

創立140年を越える理工系総合大学として高度な研究と世界で活躍する人材を輩出している国立大学法人東京工業大学では、戦略的経営オフィスが進める業務改善に向けた活動に欠かせない業務の可視化に向けて、ユニリタが提供するフローチャートツール「Ranabase」を導入。ユニリタのBPMコンサルティングによる支援を受けながら、学内のあらゆる部署の業務改善に向けた活動を強力に推進しています。

課題

  • IR(Institutional Research)活動に向けての情報を得るべく、さまざまな業務の電子化が必要
  • 現場と議論を進めるうえで業務可視化につながるツールの存在が不可欠
  • 業務の可視化をはじめとした業務改善を行っていくためのBPM(Business Process Management)手法に注目

解決策

  • BPMコンサルティングとフローチャートツール「Ranabase」が改善活動を促進
  • 業務フローの可視化により問題点の把握と改善を行うことで業務の効率化と工数削減を目指す
  • 業務の可視化によって業務改善に向けた現場の意識改革を促進

目次

  1. 1. 業務改善に向けたアプローチとしてのBPM手法に注目
  2. 2.  業務フローを言語化、図式化して可視化するための強力なツール「Ranabase」
  3. 3. 各部署の業務改善に向けた共通言語としてのスタンダードに
  4. 4. 500業務の改善活動に向けて「Ranabase」を積極的に活用、コード化にも期待

業務改善に向けたアプローチとしてのBPM手法に注目

産業技術の近代化を推進するための人材育成を目指す教育機関として1881年に設置された東京職工学校がもとになり、現在は「世界最高の理工系総合大学の実現」を長期目標に掲げ、世界のトップスクールに比肩しうる教育研究体制の構築を進めている国立大学法人東京工業大学。大岡山、すずかけ台、田町の3つのキャンパスに、海外留学生や大学院課程も含めた1万人以上の学生が在籍しており、理工学分野における研究者や教育者はもちろん、産業界における技術者および経営者として指導的役割を担う人材育成を進めながら、科学と技術の水準を高めるための多方面にわたる研究を推進しています。

昨今多くの大学が進めている、学内のさまざまな情報を収集、分析し、執行部の意思決定を支援するIR(Institutional Research)活動。同大学でも2015年に設置された情報活用IR室を中心にIR活動を推進しており、2020年にはIR活動で得られたデータを活用し、執行部の立場から業務改革に向けた提案を行う戦略的経営オフィスを設置しています。「教育、研究および大学業務改革とともに事務処理の電子化を徹底するなど、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)推進としての役割を担っています。エビデンスをベースに意思決定を促すEBPM(Evidence Based Policy Making)をもとに大学経営の在り方の見直し提案などを行っています」と語るのは戦略的経営オフィス・情報活用IR室 教授 森 雅生氏です。

戦略的経営オフィス・情報活用IR室 教授 森 雅生氏

そんな同オフィスが推進する学内の業務改善に向けては、業務の可視化からシステム導入による業務改善を行っていくための手法が求められました。そこで注目されたのが、業務プロセスを分析することで継続的改善サイクルを確立・運営する包括的な手法としてのBPM(Business Process Management)でした。「IR活動を進めるにあたっては、各部署からの情報提供が必要ですが、そもそも電子化が進んでいない業務も少なくありません。そこで分析に必要なデータの定義を行ったうえで業務の電子化を進める必要がありましたが、同時に業務改善も進めていくことが求められたのです。その手法としてBPMによるアプローチを検討したのです」と同オフィス 特任講師 今井 匠太朗氏は当時を振り返ります。

戦略的経営オフィス・特任講師 今井 匠太朗氏

業務フローを言語化、図式化して可視化するための強力なツール「Ranabase」

ただし、業務改善に向けたBPM手法が学内に確立されていなかったために、当初から外部パートナーによるコンサルティングを含めた形でプロジェクトを進めていくことに。そこで白羽の矢が立ったのが、森氏が他大学に所属していた際に導入したETLツール「Waha!Transformer」を提供しているユニリタでした。「その当時からBPMに関する話題は常に伺っており、業務改善プロジェクトとして検討する段階で改めて注目したのです。まずは学内で成功事例を作ることを視野に、小さくはじめていく決断をしたのです」と森氏。

その過程でユニリタから提案があったのが、コンサルティングのノウハウが詰め込まれたフローチャートツール「Ranabase」でした。「業務改善に向けた戦術として、各部署での業務フローを言語化し、かつフローを図式化して誰が見ても業務の動きがわかるようにするためのツールとしてお勧めいただいたのです」。

最初に紹介を受けたときは、世の中にあるドローイングツールとさほど大きな違いがわからなかった今井氏でしたが、使っていくうちのその魅力に気づいたと語ります。「一般的なドローイングツールは汎用性が高いため、ルールを自ら定める必要があるだけでなく、そもそもどうやって記述したらいいのか悩む場面も。「Ranabase」は業務フローを整理するために特化したもので、業務フローがすぐに書き出せます。しかも、記述のルールがあらかじめ定義されているため誰が書いても同じルールで運用できる。読み方もわかりやすいので、現場の方ともすぐに議論できるのは大きな魅力です」と今井氏は評価します。

また、新型コロナウイルス感染症流行のタイミングだったこともあり、Web上で提供されるサービスであることが幸いしました。「緊急事態宣言などが発出されたことで、対面での打ち合わせが困難な状況でしたが、現場との打ち合わせもすべてWeb会議上で行いながら、「Ranabase」にて業務フローが整理できたのです。現状のフローをポンと現場に示すことができたのは大きなインパクトで、現場への普及に弾みがつきました」と今井氏。

森氏が注目したのは、業務フロー内のアクションそれぞれにかかる時間を記載できることでした。「アクションごとの所要時間を細かく記述することで、最終的にExcelに落とすことができるのは驚異的でした。業務改善の結果がきちんと数値化できることで評価に使えるわけで、これまで業務が数値化されて整理できるものは見たことがなかった。フロー図で示す質的な改善と数値による量的な改善の双方で評価できるという意味で革新的でした」と「Ranabase」を高く評価しました。

【図版1】業務フローから出力される業務記述書 (業務ステップごとの詳細説明、所要時間、実行サイクル、自動/手動の区分などを記録)

Ranabaseの業務フローから出力される業務記述書

結果として、大学が推進する業務の電子化に向け、既存業務を棚卸しするための可視化ツールとして、「Ranabase」が採用されることになるのです。

各部署の業務改善に向けた共通言語としてのスタンダードに

最初に「Ranabase」を利用して業務改善を行ったのが、安全保障輸出管理と呼ばれる業務で、海外から来た研究者や留学生の身元を調査するプロセスです。「従来はメールベースで国際部の担当者とやり取りしながら必要な書類をそろえていくのですが、膨大な情報量があったためシステム化に向けて検討を進めていました。担当者が前向きだったため、まずはユニリタのコンサルタントと一緒に「Ranabase」を使って言語化していき、業務の見直しを実施しました。それにより、すべての業務をひっくるめて工数の可視化を実施し、効率化を目指します」と森氏。この効果を執行部に提示したところ、事務局長含めて多くの賛同者を獲得し、学内のあらゆる業務にBPMをベースにした業務改善プロジェクトが動き出すことになったのです。

安全保障輸出管理に関する業務プロセスを皮切りに11部署13業務の可視化を図り、80名ほどが「Ranabase」を活用しながら現在もプロセス改善を続けています。例えば、物理的に離れたキャンパス間で行われていた別の業務を整理してワークフローシステムを導入し、学内便など紙でのやり取りを解消することに成功。また、図書館の窓口業務など紙を受け取ることが前提となっていた業務を改めて整理し、申請者自身が手続きを進めることで別の業務にリソースを振り分けることができた事例なども。「紙を受け取る専門の役割自体を業務からなくすことができるなど、業務改善の結果として大きな効果が得られています」と今井氏。

現状の進め方は、業務改善を目指す各部署のフローを確認して今井氏自らが「Ranabase」にて業務フロー図を作成、コミュニケーション機能を利用して気になる部分にメモを残したうえで担当者に事前確認を行ってもらい、詳しく業務改善につながるポイントについて議論を行っています。「議論に必要な部分はコメントを残しておき、当日コミュニケーションしながらその内容を確認しています。業務のボトルネックになりそうなものは付箋に書き出し、あとで付箋の内容だけを取り出すことで課題リストとして活用できるようにしています」と今井氏。きちんと業務フローが落とし込めることで、この業務に対するインプットやアウトプットが何なのかがきちんと議論できるなど業務の棚卸しに大きく貢献していると説明します。

【図版2】東京工業大学で作成された業務フロー (黄色い付箋は職員により書き込まれた現状課題)

Ranabaseによって東京工業大学で作成された業務フロー

各業務を定義したクリップ(業務フローを表記するアイコン)には属性情報が付加できるだけでなく、クリップそのものをマスター化することで他の業務フローを可視化する際にもテンプレートとして活用できるようになっています。「当初からテンプレート機能があることは理解していましたが、初期はバラバラで作っているものが多く、クリップが肥大化している部分も。最近はテンプレートとして他の部署の業務を確認する際にも役立てていますが、クリップをしっかり整理してマスター化していくのはこれからの課題です」と今井氏。なお、「Ranabase」の使い勝手については、用意されたアイコンを置いていくだけでフローが作成できるだけでなく、Web上で共有しながら誰にでも触れることができる点でも圧倒的に使いやすく、学習コストも抑えられると森氏。

今でも多くの部署で業務改善が進んでいますが、学内の郵便業務など影響の少ない業務から手掛けたことが功を奏していると言います。「効率化すれば収益が向上する企業と違い、大学の事務などは入学してくる学生の数がある程度毎年想定できるため、あまり効率化が求められてきませんでした。その意味では、学生や教員に大きく影響のある業務に最初から手を付けてしまうと、かなりの議論が必要です。なので、先ずは周囲に影響の少ない業務であっても改善できることをしっかり示すことができたのが、業務改善の取り組みが加速できている原動力になっています」と森氏。また、「Ranabase」が現場の意識改革につながり、口コミがもとになって業務改善の動きが加速していくなか、戦略的経営オフィスが業務改善を希望する現場の相談場所になれたことも大きな効果だと今井氏。「私自身もそうですが、職員も多くの知識を吸収しています。誰にでもわかるような方法で言語化することに大きな価値があり、職員の発言からも理解が進んでいることを実感しています。「Ranabase」が業務改善に向けた意識改革に良い方針を与えてくれています」。

「Ranabase」を導入したことで、将来的な定型業務のAI化に向けたステップにつながっていくと森氏は評価します。「データに基づいて学習させ、そのAIで業務を処理させるためには、業務フローの可視化はもちろん、そこで必要となる項目がはっきりしていないと難しい。「Ranabase」であれば業務フローやそこに流れるデータをきちんと整理できるため、業務改善だけでなく、AI化という方向性も見えてくる。情報学の専門家として、DXだけでなくAIを導入する際にも非常に有効です」。また、業務改善に特化したドローイングツールとしての制約があるがゆえに、どの現場であっても統一言語化することができる点も大きなポイントです。「業務フローを記述して改善につなげるためのスタンダードとして確立していくと考えています」と森氏は期待を寄せています。

ユニリタについては、IRも含めた大学の業務に非常に明るく、基幹システムを中心とした大手ベンダーと比べて、現場の業務に精通している印象が強いと今井氏。「Ranabaseというツールと一緒にBPM手法をわれわれに示してくれたことに感謝しています。システムを一緒に販売しているベンダーにコンサルティングをお願いすると、どうしてもシステムありき、電子化ありきという進め方になりがちです。ユニリタは業務の可視化だけをしっかり意識し、改善につなげるヒントを与えてくれる。本当の意味でやらなければいけない可視化に注力できたことは大きい」と高く評価します。現場との信頼関係を醸成させることにも一役買っており、ファシリテーション能力について評価の声も寄せられています。

500業務の改善活動に向けて「Ranabase」を積極的に活用、コード化にも期待

現在は13業務ほどの改善プロジェクトを進めていますが、最終的には500業務ほどが改善活動のスコープとして想定されており人件費の節減に向けて今後も「Ranabase」を積極的に活用していきたいと語ります。「今では多くの人が「Ranabase」を活用していますが、現時点では自ら「Ranabase」にて業務フローを記述していくケースはまだ少数です。この人数を増やしていくことで、現場自らで改善活動が自走でき、PDCAを運用していける環境を整備していきたい」と森氏。

現時点は、as isから to beを作っていくためのコンサルティングが中心のため、これからは可視化された将来像を実装したうえで次につなげていくという実体験をさらに積み重ねていき、学内に展開していきたいと意気込みを語ります。そのなかでは、「Ranabase」の利用主体を現場に落としていき、他部署の業務フローを参考にしながら自部署の改善に役立てていけるような環境も整備していきたいと語ります。「業務が部署を超えてオープンにされていくことが、おそらく本学で次に進めていかなければいけない重要なミッションのひとつです」と今井氏。

森氏が期待しているのは、「Ranabase」による業務フローのコード化です。「例えばXML形式で業務フローやそのなかにある情報を形式的に記述できるようになれば、フローを比較した際にも類似性のようなものが検知できるようになります。また組織が抱えている業務には、アクター、アクション、データ等といった概念が存在しており、これらの関係性を正確に整理していくオントロジーと呼ばれる情報工学のアプローチがあります。コード化できるオントロジーのように、業務プロセスも「Ranabase」のなかでコード化できるようになれば、新しいイノベーションを起こすための議論に発展していくはず。今後に期待しています」と森氏に今後について語っていただきました。

マイナビニュースにも東京工業大学様におけるRanabaseの活用事例が掲載されました

マイナビ掲載記事はこちら

東工大のDXを推進した絶妙なツールの組み合わせとは? 業務効率化を学内の文化にする方法

日本最高の理工系総合大学、東京工業大学が抱えたIRとDXの課題とはなんなのか、またRanabaseを活用しどのように課題解決したのかを詳しくお話しいただきました。

※マイナビ ニュースページへリンクします

東京工業大学様事例

東京工業大学
創立:1881年(明治14年)
創立から140年を越える歴史をもつ国立大学であり、日本最高の理工系総合大学
大岡山、すずかけ台、田町の3つのキャンパスに学士課程約5,000人、大学院課程約5,500人の計約10,500人の学生が学び、うち、約1,700名が海外からの留学生
学生の教育研究を支えるのは約1,200人の教員と約600人の職員

ホームページ:https://www.titech.ac.jp/

東京工業大学

さらに詳しく知りたい方へ

サービスを
利用してみる

30日間無料で、スケッチ(図)を無制限で作成できる
「パーソナルプラン」をご利用いただけます。
この機会に、Ranabase(ラーナベース)で継続的な業務改善を始めてみませんか?

サービス紹介やお役立ち資料を無料でご活用いただけます